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目次
皇后さまの典雅な十二単
即位礼正殿の儀

2019年10月22日、おごそかに即位正殿の儀が行われました。
「即位正殿の儀」とは、天皇が皇位を継承したことを国内外に宣明する儀式のことです。
平安絵巻さながらの儀式の中で、ひときわ魅せられたのは 皇后さまの十二単※のお姿でした。
白い衣に 若草色の鶴は映えて ことに あでやか。
1番上の衣(唐衣)の白色は、即位礼において皇后さまだけがお召しになれる特別な格調高い色です 。
色にも意味があり、白は清浄、若草色は繁栄を表します。
※ 十二単とは、平安時代より宮中で行われる儀式の時の正装

松喰鶴文様
ルーツはシルクロード

若草色の文様は『向松喰鶴』。
松の枝を口にくわえた鶴が向かい合う、格式の高い文様です。
皇后様の文様は、伝統的かつモダンと称賛されました。
新しさは、鶴に動きがあること。
右側の羽を舞い広げて、右脚を軽やかに伸ばしています。
鶴の優雅で躍動的な仕草は、皇后さまのご活躍、明るい未来を表しているようです。
松喰鶴文様

この文様は、なんと旧約聖書「ノアの方舟」に起源があると考えられています。
神の怒りによる大洪水から逃がれて、方船に家族や動物たちといたノアは鳩を放ちます。
鳩がオリーブの葉をくわえて戻ってきたことから、洪水が収まったと知るのです。
鳩とオリーブは平和の象徴のモチーフとして、古代オリエントからシルクロードを通り中国へ伝わりました。

中国では鳳凰が花をくわえる図案に変わり、それが日本に伝わりました。
正倉院の宝物にも見られます。写真 (紅牙撥鏤碁子・紺牙撥鏤碁子)
そして平安時代には「松の葉をくわえる鶴」という、日本独自の吉祥文様へと進化していくのです。
鳩→鳳凰→鶴
ノアの方舟→シルクロード→唐→平安京
遥かなる時間と距離を越えてきた、なんと壮大でロマンいっぱいの文様でしょう。
松喰鶴文様には、永遠の平和という意味があります。
松と鶴に込められた願い 古典より
藤原為家が詠んだ和歌に、このような歌があります。
色かへぬ 松にすむ鶴 わがきみの 千代にちとせを かさねてやなく (為家千首 842)
千年経っても美しい緑のままの松。
その梢に住む鶴。
千年続いている君が代の栄えが、もう千年重ねて続くように鶴は鳴くのだろうか。
鶴は松の木に住むと言われていました。
松の葉は常緑、鶴は千年も長生き。
松と鶴、そのめでたさを重ねて、悠久の平和への願いを込めています。
