天皇陛下の文様「桐竹鳳凰麒麟」|尊ばれてきた千年の継承

桐竹鳳凰麒麟文様

「桐竹鳳凰麒麟文様」は、記事の最後に解説しています。
こちらから、先に読むこともできます。

目次

天皇陛下だけのお召し物 —— 黄櫨染御袍こうろぜんごほう

黄櫨染こうろぜんとは、どんな色

即位正殿の儀の天皇陛下の写真 出典:内閣府(CC BY 4.0)

写真 出典:内閣府(CC BY 4.0)

即位正殿せいでんの折に、天皇陛下がお召しになった御装束を黄櫨染御袍こうろぜんごほうと言います。
黄櫨染こうろぜん —— 難しい漢字ですが、色の名前です。
どのような色かというと、その表現は様々。
黄色味のある茶色 とか
赤味がかった黄色 とか
黄色味の暗い赤色 とか
定まった色合いでないのは、黄櫨染こうろぜんの染め方は秘法であり、染色技術の難しさから、毎回全く同じ色には染まらないためです。
幻の染色とも言われ、平安時代からずっと天皇だけがお召しになれる色でした。
この布を太陽やあかりに透かせて見ると、赤く美しく輝くそうです。
まさしく、日の本の国、日本の天皇に ふさわしい色です。

黄櫨染御袍こうろぜんごほうについて

高倉天皇(1161-1181) 像 出典:Wikimedia commons
絵 高倉天皇(1161-1181) 像 出典:Wikimedia commons
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黄櫨染御袍こうろぜんごほうは、黄櫨染こうろぜんの色と「桐竹鳳凰麒麟きりたけほうおうきりん」の織りの文様がセットになっています。
その歴史はとても古く、平安時代にまでさかのぼります。

まず、820年、色が嵯峨さが天皇のみことのりにより定められました。
儀式や行事の際に、天皇がお召しになる装束そうぞく黄櫨染こうろぜんの色と決まり、「絶対禁色ぜったいきんじき」つまり天皇以外の人は許可なく着用することができない色となりました。

平安時代の中期には、文様も定められました。
当時は、桐と竹と鳳凰ほうおうのみの地紋でした(画像参照)。
その後、麒麟きりんの文様も加わり、現代にまで至ります。

桐竹鳳凰麒麟きりたけほうおうきりん文様

桐竹鳳凰麒麟きりたけほうおうきりん文様
この文様の主役は鳳凰ほうおう
鳳凰ほうおうは、徳の高い帝が世を治めるときに現れると伝えられてきた伝説の鳥です。
そして、桐の木にみ、竹の実だけを食べる ——
そこから桐竹鳳凰ほうおうの文様となりました。

その後に、麒麟きりんも加わりました。
麒麟きりんは首の長いキリンとは違います。
伝説上の生き物で、鳳凰ほうおうと同じく聖帝せいていが治める世にだけ現れるとされています。

この文様の特徴は、「筥形はこがた文様」です。
桐・竹・鳳凰ほうおう麒麟きりんはこ(箱)に収めるように、四角形の中に左右対称に配しています。
日本において大切に継承されてきた、尊い伝統文様です。

桐竹鳳凰麒麟きりたけほうおうきりん文様」のぬり絵を、こちらから楽しめます。

清少納言は『枕草子』の中で、桐と鳳凰について、こんな風に述べています。
桐の花が紫色に咲く様子は風情があるけど、葉っぱが大きく広がってるのは大げさに感じてしまう。
でも、他の木と同じ様に、あれこれ言ってはいけないのかもしれない。
唐の国では、仰々ぎょうぎょうしい名前のついている鳥…鳳凰ほうおうが この桐の木だけにむらしいから。
桐は、とても特別な木 !

桐の木の花、紫に咲きたるは なほをかしきに、葉の広ごりざまぞ、うたてこちたけれど、異木どもと ひとしう言ふべきにもあらず。唐土に ことことしき名つきたる鳥の、選りてこれにのみ ゐるらむ、いみじう心ことなり。「木の花」

竹の実の余談ですが、竹に実がなる事はとても珍しく、たとえ花が咲いても60〜120年に1度だけ。
その後に実がなります。
そして、竹は枯れてしまうそうです。
鳳凰ほうおうは、100年前後もお腹を空かせたままなのでしょうか?

ちなみに麒麟きりんは、さらに上をいきます。
命あるものをいつくしむため、何も食べず、草さえ踏まず、いつも空をけているのだとか。

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