薔薇文様|皇后雅子さまのお印「ハマナス」

皇后雅子様とハマナス文様

「薔薇文様」は、記事の最後に解説しています。
こちらから、先に読むこともできます。

目次

皇后さまのお印「ハマナス」

「ハマナス」は、「浜梨はまなし」が転じたと言われ、「浜薔薇」という漢字でも表されます。
英語では「Japanese Rose」。
日本の浜辺に自生する薔薇バラの原種です。
薔薇ばらは品種改良が盛んで、現在では数万種にも及ぶと言われていますが、原種は150種類ほど。
一説には、江戸時代にシーボルトがハマナスをオランダへ持ち帰ったことで、ヨーロッパにも広まったとされています。
紅紫色の花は鮮やかで、とても良い香りがするそうです。

天皇陛下が皇太子時代に北海道でハマナスをご覧になり、その大きな紅色の花に強い印象を受けられたことから、お印に選ばれました。
ハマナスの花言葉は「あなたの魅力にひかれます」。

重色目かさねのいろめ「さうび」

平安時代の人々は、季節の移ろいや自然の美しさを愛しました。
それを色で表現し、「重の色目かさねのいろ」といって、衣装の表地と裏地の重なりや、そで口・えりの重なりなど、色を組み合わせて風流を楽しんでいました。
そして、重の色目には、季節を表す植物の名前などが付けられました。
その一つに「薔薇ばら」があります。
当時は薔薇を「さうび(そうび)」と呼んでいました。
「さうび」は表地の紅色と裏地の紫色が重なる艶やかな色目です。

薔薇ばら文様

薔薇ばら文様の意味

即位礼正殿そくいれいせいでんのとき、皇后雅子様がお召しになった十二単じゅうにひとえの文様は、緑色の「松喰鶴まつくいづる」と紫色の「ハマナス(薔薇ばら)」の文様でした。

薔薇ばら文様
花の女王と呼ばれる薔薇ばらはいつから日本で咲いていたのでしょう。
平安時代には『源氏物語』に登場しています。
薔薇という重の色目はあっても、伝統文様はありませんでした。
明治以降になると、花の華やかさから文様として好まれて使われるようになりました。
薔薇は春から秋まで長い期間咲き、とげがあることから、薔薇文様には、不老長寿・守護の意味があります。

『源氏物語』に出てくる薔薇ばら

階段の下に咲く薔薇さうびが、ほんの少し咲き始めていて、春や秋の花盛りの時期よりも かえって落ち着いた風情があっておもむき深い

きざしのもとのさうび薔薇、けしきばかり咲きて、春秋の花盛りよりもしめやかにをかしきほどなるに

宮沢賢治の詩に出てくるハマナス

ハマナスは、明治以降に詩や俳句などで詠まれています。
芳醇ほうじゅんな香りを「妖精のしわざ」と宮沢賢治は詩の中で表現しています。

朝顔よりは むしろ牡丹ピオネアのやうにみえる 
おほきな はまばらの花だ 
まっ赤な朝の ハマナスの花です 
ああ これらの するどい花のにおは 
もうどうしても 妖精のしわざだ
『オホーツク挽歌』より抜粋 

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