ボンボニエールの「鳳凰文様」|瑞鳥が運ぶまごころ

平成と令和の即位の礼で贈られたボンボニエールに描かれた鳳凰文様。菊の御紋とともに、対になるように配置された2つの鳳凰の線画デザイン。
鳳 凰 文 様

「鳳凰文様」は、記事の最後で詳しく解説しています。
こちらから、先に読むこともできます。

目次

ボンボニエール

ボンボニエールとは何?

ボンボニエール —— この可愛い響きはフランス語。
砂糖菓子(ボンボン)を入れる小さな容器という意味です。
日本では、皇室や皇族の御慶事ごけいじの記念品のことを言います。

中身は金平糖こんぺいとう

ボンボニエールのふたを取ると、中には色鮮やかな金平糖こんぺいとう
室町時代にポルトガルから伝わって以来、職人さんたちが大切に守ってきた伝統のお菓子です。
天候に左右されるので、目や耳の感覚を頼りに作るのがとても難しいお菓子だそうです。

ボンボニエールは多彩

明治期の漆塗りのボンボニエール
写真 明治期の漆塗りのボンボニエール 作者 Gahukuro CC BY-SA 4.0 出典:Wikimedia commonsより改変
皇室がボンボニエールを贈るのは、明治時代中頃からの習わし。
鎖国さこくが終わり、日本が近代国家として西洋諸国と肩を並べるために、海外からの来賓らいひんに祝宴をもよおし、記念品として贈られたのが始まりです。
刀の使用が禁止され、失業してしまった刀職人たちがボンボニエールを製造、その高い技術は海外でも高い評価を受けていました。
写真 釣灯籠のボンボニエール『写真交名大鑑 御大典奉祝記念』出典:Wikimedia commons

今までに700種類ものボンボニエールが作られてきました。
特に大正期頃までは、鳥籠とりかごやでんでん太鼓、つづみといった日本の伝統的なモチーフを取り入れ、趣向を凝らした手作りのものが数多く見られます。

学習院ミュージアムのボンボニエール図鑑で、美しいもの・楽しいもの、様々なボンボニエールを鑑賞できます。
釣灯籠のボンボニエール『写真交名大鑑 御大典奉祝記念』出典:Wikimedia commons

鳳凰ほうおうが刻まれたボンボニエール

令和ご即位の時の「大饗だいきょう」で贈られたボンボニエールは、銀製で大きさは長径6cm、高さ3cmの丸型、ふたには鳳凰ほうおうの文様が刻まれています。
平成のご即位のボンボニエールも鳳凰ほうおうの文様でした。
平成と令和、鳳凰ほうおうは仲良く向き合っています。
これは、わざと対になるようデザインしているそうです。
よく見ると、令和の鳳凰ほうおうは脚を広げ、尾も伸びて、躍動感のある姿で描かれています。
2匹の鶴が松の枝を咥え向き合っている松喰鶴文様
皇后雅子さまがお召しになられた十二単じゅうにひとえの鶴の文様も、片脚を上げて優雅に羽ばたくような姿で表現されていました。
鳳凰ほうおうの文様と鶴の文様、共に動きのある形に、新しい時代への希望が重なります。
皇后様の「松喰鶴まつくいづる文様」の話は、こちらから。

鳳凰ほうおう文様

鳳凰ほうおう文様とは

鳳凰ほうおう文様
美しい羽を広げて舞う伝説の瑞鳥、鳳凰の文様。優れた王が現れる時に姿を現すといわれ、天下泰平の平和な世と、人々の幸福、そして気高くあることへの願いを象徴しています。
鳳凰ほうおうは伝説上の鳥、最高位の瑞鳥ずいちょうです。
ほうおすおうめすを表し、徳の高い帝が皇位につくと現れると言い伝えられています。 
その姿は、くちばしはニワトリ 、あごはツバメ、背中は亀、尾は魚、首は蛇。
からだの上部は麒麟きりん、下部は鹿 。 
羽は5色で孔雀くじゃくに似て 5つの声音で鳴くという、華やかな鳥です。

鳳凰ほうおう文様には、平和・幸福・高貴の意味が込められています。
 「鳳凰ほうおう文様」については、こちらもお読みください。

鳳凰ほうおううたった詩(中国の古典より)

中国の昔、の時代。
政治家で詩人だった「屈原くつげん」がんだ詩『離騒りそう』の中に、とても幻想的な一節があります。
世の中に失望した主人公が、天帝(天にすむ最高位の神様)に会いに行こうとする場面より。

私は馬車を走らせる
月の車の御者に前をけさせ
風神を後に従わせる
らん鳳凰ほうおう(ともに伝説の鳥)が私のために道案内をしてくれる
雷神は、天に行くには おともがまだ足りないと言う
私は鳳凰ほうおうを高く飛ばせ
そのあとを昼に夜を継いで急ぐと
つむじ風が集まってきては、また離れ
雲と虹をおともに引き連れて
私を天帝へと案内してくれる
前望舒役先駆兮  後飛廉役奔属  鸞凰為余先戒兮  雷師告余以未具
吾令鳳凰飛騰兮  飄風屯其相離兮  帥雲霓而來御
即位礼正殿せいでんでは、天皇陛下がお言葉を述べられると雨が上がり、空には美しい二重の虹がかかりました。

その美しい光景を、この詩を読むと思い出します。
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