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宇治の平等院鳳凰堂
平等院が立つ宇治の地

滔々と流れる宇治川の豊かな水。
名水と名高いその水で 豊臣秀吉が茶会を開いたことが、やがて風習となりました。
現代でも「宇治茶まつり」の中で、宇治橋から水を汲み上げる「名水汲み上げの儀」が行われています。

平安時代、宇治川のほとりに“源融”が山荘を建てました。
源融は嵯峨天皇の皇子で、『源氏物語』の主人公“光源氏”のモデルと言われている人物です。
『源氏物語』宇治十帖にも描かれている様に、宇治は貴族に人気の別荘地でした。
融の没後、何人かの所有者を経て、藤原道長が譲り受け その館は“宇治殿”と呼ばれました。
写真 大河「光る君へ」より 道長の宇治別荘
平等院は、何のために作られたの?

道長の後を継いだ長男の頼通は関白だった時、その宇治の別荘を寺院として改修しました。
その背景には、当時広まっていた「末法思想」があったのです。
末法思想とは、釈迦が亡くなって2000年の後、教え・修行・悟りが失われ、死後は極楽浄土に行くことが難しくなるというもの。
2000年後というのが1052年。
その年に、頼通は平等院を創建したのです。

平等院は「古都京都の文化財」の一つとしてユネスコ世界文化遺産に登録されています。
平等院の中でも有名なのは、国宝に指定されている鳳凰堂。
10円玉の表のデザインにも使われているほどです。
平安時代、末法思想の不安を救う道として、浄土信仰も広まりました。
浄土信仰は、末法の世にあっても、阿弥陀仏が極楽浄土へ導いてくれるというもの。
そのため、鳳凰堂には阿弥陀如来坐像が安置されています。
極楽浄土の宮殿が現れた!

極楽浄土は、海のはるかかなた 西の地にあると考えられていました。
鳳凰堂は西を背にして立ち、建物の前には、海に見立てた“阿字池”が広がっています。
鳳凰堂の本尊は金色の“阿弥陀如来像”、その天蓋や光背(仏像の上や後ろの飾り)は金箔と鏡と螺鈿、壁や柱は極彩色。
当時は眩いばかりに輝いていたと言われています。
鳳凰堂は「極楽浄土の宮殿の再現」として建てられました。
建物とその内部の様々なものは、創建当時のまま。
千年以上の時を越えても現存している奇跡は、極楽浄土ゆえでしょうか。
鳳凰は平和のシンボル

鳳凰堂の名の通り、建物の屋根には1対の黄金の鳳凰が据えられています。
崇高なまでに美しいその姿は、かつての一万円札のデザインにもなりました。
鳳凰は、帝が理想の政治を行なった時に現れる瑞鳥と考えられています。
平和な世の象徴であり、眺める人々に安らぎを与える存在でした。
愛らしい菩薩様たち

「360度国宝」と言われている鳳凰堂。
建物をはじめ、その中には阿弥陀如来像や絵画など、74もの国宝が残されています。
その中でも心を捉えて離さないのが、愛らしい52体の「雲中供養菩薩像」。
本尊の阿弥陀如来像を囲むように、南北の壁に掛けられています。
雲の上にいる菩薩さまたちは、祈りを捧げていたり、楽器を奏でていたり、舞いを踊っていたりと、豊かな表現ながらも静かで和らぎに満ちた佇まいです。
文様は極彩色
末法も退散 鮮やかな極彩色

1000年以上もの時が経ち、今では鳳凰堂内部は色褪せてしまいましたが、藤原頼通が建てた頃は とても華やかな空間だったそうです。
中央では、大きな阿弥陀如来像が眩いばかり輝き座している。
色とりどりの衣を纏った菩薩様たちが、雲に乗って空を飛ぶ。
天井・柱・壁には極彩色の文様の花が咲き、鳳凰は羽を広げる。
大きな壁扉の絵は美しい風景とともに、旅立つ人のために阿弥陀如来がお供を伴い迎えにくる。
極楽浄土を思わせる、赤と緑と青と紫の極彩色—鮮やかで濃厚な色の組み合わせ—。
ビビットの色合いに、末法思想は敵わなかったに違いありません。
極彩色の塗り方は階段式

鳳凰堂の文様は、色の塗り方にも工夫があります。
その手法は繧繝彩色という塗り方。
濃い色から薄い色へと、階段式に層として塗っていきます。
グラデーションと比べ、繧繝彩色の方が文様が浮かび上がるように見えて鮮烈な印象です。
繧繝彩色で塗った極彩色は、阿弥陀如来像や雲中菩薩像の金色に沈むことなく、むしろお互いに引き立てるように見えていたと思います。
極楽浄土に咲く宝相華
宝相華文様

宝相華は極楽浄土に咲くと伝えられる空想の花です。
「宝」は尊いこと、「相」は形、「華」は花のこと。
蓮、牡丹、芍薬など吉祥を合わせた理想の花で、美しくて清らか、悟りや繁栄を意味します。
宝相華の花が極楽浄土でずっと咲き続けるようにと、永遠を意味する唐草文様と組み合わされています。
鳳凰は時を翔ける

東京・銀座にある第五期「歌舞伎座」。
ロビーでは、色とりどりの花と鳳凰の真っ赤な絨毯が出迎えてくれます。
この模様は鳳凰堂の柱の文様を再現したものだとか。
1000年を越えて、日本が誇る伝統芸能の劇場に、鳳凰は翔けてきたようです。
鳳凰堂に使われている鳳凰文様のぬり絵を無料で楽しめます。
こちらから下絵をダウンロードをしてください。
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[無料プリント] 鳳凰文様 ぬり絵に挑戦
平等院鳳凰堂のシンボルは、その名の通り鳳凰です。極楽浄土の宮殿を再現するために創られた鳳凰堂。柱や壁には、極彩色の文様の鳳凰が羽ばたき飛んでいます。
その鳳凰に自分好みの色を塗って、お楽しみください。
